仏教と蓮華
インドでは古代より蓮は女性の母胎(胎蔵)と考えられ、多産、生命の創造、豊穣、幸運、繁栄、長寿、健康の象徴とされていました。
紀元前5世紀に仏教がこうした風土の中に生まれると、蓮華はお釈迦様の誕生を告げて花を開いた、という伝説ができます。
以来、蓮の花はお釈迦様や仏様、極楽浄土などのシンボルとされ、現在まで伝わっています。
仏さまが蓮華の台座にいらっしゃる理由
仏像や仏画に描かれている仏様は、多くの場合蓮の花弁の台座の上にお立ちになったり、坐っておられます。
この台座は「蓮華台」「蓮華座」「蓮の台(はすのうてな)」と呼ばれています。「蓮」を「はちす」というのは、花托の部分が「蜂の巣」を逆さまにした形に似ており、穴がいくつもあるからです。
仏さまが蓮華の台座にいらっしゃるのは、蓮華に「悟りの世界」という意味があるからです。
蓮華はよごれた泥の中から清らかな花を咲かせます。泥は「迷いの世界(この世)」、蓮華はよごれた泥に染まらない「悟りの世界」のたとえです。
仏さまは悟りを開いて仏となった(成仏した)ため、その「あかし」として蓮華台に乗っておられるのです。
お墓に蓮華台をつける理由
お墓やお位牌に蓮華台をつけるのも、亡き人が成仏し極楽往生した「あかし」であるためです。
蓮華台には、亡き人やご先祖さまを大切に思い、極楽で安らかに暮らしてほしいと願う優しい心がこもっています。
お墓の建立を考えている方は、ぜひ蓮華台の設置を考えてみてはいかがでしょうか。
参考:小畠宏允著『お墓入門』(石文社) 詳しくはこちら